EXHIBITION

- EXHIBITION - 2017.10.25 - 2017.11.06 【Finished / 終了】

Takahiko Yanagisawa EXHIBITION “one divided by zero”

Takahiko Yanagisawa EXHIBITION “one divided by zero”

例えば夜空の星を見るとき。
暗闇に光る小さな明かりを見ようとしても、ぼんやりとしてうまく捉えられない。
逆にその明かりから少し視線を外すと、よく見ようと目を凝らした時より、強く光を感じられる。
これは光を捉える視細胞が、目の中心部分より周辺部分に多く存在するからだ。

例えばウイルス。
DNAは保持しているが、自己複製する能力はない。
他の生物の細胞に寄生して初めて自己複製する。
遺伝情報を持ちながら、エネルギーを生産する細胞を持たないウイルスは、生物とは言えないが、無生物とも言い難い。

例えばゼロ除算。
「1÷0」計算式としては存在するが、人が必要とする計算としての概念はなく、コンピューターはエラーを起こす。
矛盾や曖昧な存在にヒントめいたものを感じることがある。エラーの先に可能性のようなものを感じることがある。
そんな白黒のつかない狭間にある事象を描いているのかもしれない。

<レセプション>
アーティストを交えてレセプションを行います。
どなた様もご自由に参加いただけますので作品を間近に鑑賞し、コーヒーやお酒を片手に特別な時間をお楽しみください。
  • ■日程: 2017年10月25日(水)
  • ■開場: 18:00〜20:00
  • ■入場: 無料
<トークショー>
期間中、本展示についてアーティストの栁澤貴彦とQUIET NOISEディレクター井上竜介によるトークショーを行います。
どなた様もご自由に参加いただけますのでコーヒーやお酒を片手にお楽しみください。
  • ■日程: 2017年10月28日(土)
  • ■開場: 15:00〜16:00
  • ■入場: 無料

栁澤貴彦

栁澤貴彦

1987年生まれ。
桑沢デザイン卒。
主にアクリルでの平面作品を制作。
2015年10月、新井薬師のスタジオ35分にて
初個展「Spasmodic Plan」を開催。

反省的思考の絵画
ルドルフ・シュタイナーに依れば、ゲーテは精神的直感による形象として私たちのなかに生きうる植物のイメージとしての「原植物」の理念を持ち続けていた。このイメージ的表象の理念は法則として、「個々のものから解き放たれ、永遠のなかに生きるようになる」のであると。(註)
イメージ以前のファンタジーは、イメジネーションの影絵に過ぎない。これが昇華することでイマジネーションに高められ、例えば、降り注ぐ光や像や色彩表象に置き換えられる。さらに進めば、心魂の中で対象を具象化する力を発展させる努力が必要とされ、内的生活は様々な試みや選択や探求を手探りの連続として営み、色彩、音響、光に満ちたイマジネーションを創造してゆくことになる。
栁澤貴彦の創造行為はこういったものに類縁する。
その特徴は、内省的思考により予感するイメージを希求し、幾何学的空間を手探りで引き寄せ色彩を帯びた茫漠とした世界を創りだす。そこに生息する共通種の「現生物」たちは無言であるが、象徴性を帯びた身振り(アクション)により互いの感情を交換しているように感じられる。
我々はそこに社会の集合的自我の闇を感じとることができる。この現実から逸脱する運命を選び「心魂」を表象する「原生物」へと変容した彼らの姿は、我々の写像であり反映(リフレクション)として推知される。

註:『人間の四つの気質』ルドルフ・シュタイナー著 西川隆範訳

2017年10月9日
鈴木 尊志
諸橋近代美術館 理事・副館長
DIC川村記念美術館アドバイザー

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